2008年クリスマス 
(その2)

幻影師タチバナワタル


 
   


いつだか判らないクリスマスの夜のこと。


 

待ちながら。
とっても青いクリスマスの夜でした。


 

ここはXYZの街です。

けれども今、もうこの街に掲示板はないし、
わたる君は今の子供じゃないので、携帯を持っていません。



 

花壇がイルミネーションで飾られていて素敵です。

わたる「きれいだなぁ・・・」



 

待たれていたのはわたる君でした。
けれどもわたる君も待っていました。
誰かの言葉を。誰かが触れるのを。
思い出してもらえるのを待っていたのかもしれません。

わたる君がいいました。
「それでは皆さん、とっても素晴らしい手品をお目にかけまーす!!」

「1・・・2・・・3っ!!」



 

いづみちゃんが現れました。
街を行くみんながびっくりしました。
こんな街角にあるまじきブルーのマキシドレスです。

わたる「こんにちは、いづみちゃん!」
いづみ「ごきげんよう、わたるさん。」
わたる君と少し大人びた声のいづみちゃんは笑顔で何かをしゃべっているようです。
久しぶりの出会いに、話に花が咲いたようです。

いづみ「わたる君、またね。さようなら♪」
わたる「さよなら、いづみちゃん!」

少し寂しげにいづみちゃんは去っていきました。


 

今度は、ピンクのドレスを着たリカちゃんが現れました!
おぼろげでしたが、観客は「成功だ!」と叫びました。
それはいつかのパーティーのままの姿なのでした・・・

わたる「久しぶりだね、リカちゃん!」
リカ「元気だった?わたる君!」

わたる君とリカちゃんはしばらくしゃべっていましたが、
いつの間にかリカちゃんは泣いていました。



 


リカ「ごめんね、わたる君。私・・・・・・。」
わたる「いいんだ、リカちゃん。・・・ありがとう。」

リカちゃんも去っていきました。



 


二人とも幻のように現れて去っていきます。
ああ、わたる君はまた一人です。
けれど、わたる君は寂しくありません。
いつかまた出会えるとわかっているからです。
ほんの少しの出会いでも心の頼りにするには充分です。

待たれているだとか、待つだとか、
もうどっちでもいいのかもしれません。

その瞬間、わたる君が ふっ と笑ったような気がしました。


 

あぁ・・・わたる君も幻だったのでしょうか?
少女の涙が流れる時、悪しきものが消えていくのでしょうか?
それとも彼は魔術師なのでしょうか?
もう、どっちでもいいのかもしれません。
そもそも、彼は人間なのでしょうか?

それでは、皆さん、さようなら・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・さよなら・・・
・・・・・・・・・・・・・・さよなら・・・


 



「人類の定義の一つは、赤い血をしている事である。」
(映画「ブルークリスマス」予告より)

鐘がなり、ハレルヤの声が響きます。

(2009/1/30)





 


わたる「リカちゃぁぁん・・・いづみちゃーんっ・・・しくしく」
チーちゃん「はいはい、朝ですよ。もうクリスマスはすぎましたよ」

リカ・いづみ「くすくすくす・・・・・・ウフフ♪」

まだまだリカちゃんトリオはこれからなのです!!



 

(やっぱり夢オチ  2009/2/3)



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