幻影3
 
 
 
◎「アンドロイドA・瞬間移動超人」(76年初旬・タカラ)
 

 タカラの変身サイボーグシリーズの後期アイテム「アンドロイドA超人」の1ロット限定です。当時品。記憶している人が極端に少ないので、かなり特殊なアイテムと言っていいと思います。画面左が通常の超人ですが、通常版でメッキのかかっている全身メカの部分が一切メッキされておらず、成型色のまま販売されていた最終バージョンです。

 これも子供の頃浦和市の玩具店で見た事のあるアイテムです。
 きちんと箱売りでした。自分の記憶と、アイスシルバー1号(幻影1参照)の広告や、1号◯を店で見る以前にはこの超人を見た記憶が無い事を考えると、76年の初頭(75年度末のぎりぎり頃)に販売されたアイテムと思われます。その前年の75年1月(74年度末)には1ロット限定品の「◯ワル」(爆 が販売されてるので、この超人もそれにあやかった販売だったようです。

 自分が同人本「HYPER OMEGA CROSS 2」(スーパーコンプリート用アイテムチェック本)出した時にもこのアイテムは思い出せてませんでした。アイスシルバー1号を入手した後の段階になって、ぼんやりと思い出しかけた時にも「確かメッキのはげた超人が売られていたよーな・・・」ってのを思い出したって程度で、それがどういうものだったかは皆目思い出せない。各店でメッキの劣化した単なる状態難の「超人」を見かけた時まで「これじゃない、これじゃない・・・」と思って買おうかどうしようか延々迷ったりしてました。まさか「全身メッキが最初からかかっていない」アイテムだったとは思わなかった。これもヤフオク入手なのですが、心臓バクバクもので落札したのを覚えてます。

 とりあえず瞬間移動超人というのは個人的につけた「仮称」で、この名前にする前にはテレポーテーション超人だの、プラズマホワイトだの、という名前で呼んでました。(なんか光速モードを表現した印象が強いです)
 アイスシルバー1号が「冷凍睡眠1号」という広告コピーそのままのコンセプトで作られた点から、超人も何らかのコンセプトによってこの形態で売られたのでは?と考えたからですが、本来の名称はいまだ不明です。

 根本的にメカ部には一切メッキがかけられた形跡がありません。パーツの表裏、細かい部分、1片のかけらたりとメッキが残っていないのです。マニアの方は周知と思いますが、超人のメッキは安いメッキを使っていてまた凹凸部が多いので、もともと手で触っているとメッキが落ちやすいです。
 ですがこのアイテムのように、通常版ではメッキのかけられている関節ジョイント内の細かい部分(真空蒸着メッキなので中までメッキが行く)や、各パーツの裏側、足のパイプの管の中までメッキがひとつ残らず落ちてしまう事は普通ありえません(おそらくそれがこの1ロットアイテムの生まれた理由になっているようなのですがそれは後述)。
 注目すべきなのは、ほぼ全身のメッキが無いにも関わらず、胴体内部のメカと、両ふともものエンジン部だけは、メッキが擦れた状態で残っているという事で(左比較)、実際「販売当時から」この状態で売られていたようです。なぜかと言えば、この部分が販売当時に半分擦れた状態だった為に、自分は「プラスチックのままの色の超人」としてではなく、「メッキのはげた超人」として、誤って記憶してしまったからです。



 

 ← 裏面。

 アンドロイドAは74年末から一年間の、ほぼ短期販売のアイテムなのですが(超人とロボットのみ、発売が随時遅れていた記憶もある)、後に発売された宇宙人の方には顔塗り等のバージョン差があるのに、アンドロイドには無かったのだろうか?というのがこの超人を思い出したきっかけです。

 このアイテムが成立した理由は、おそらく、先にあげた当初からの「超人のメッキの落ちやすさ」に起因するものと思われます。
 旧サイボーグアイテムのメッキ問題については、先の「キカイダーヘッド」(確かにこの呼び名恥ずかしいが・・・)でも問題になってたようですが、特にこの超人の場合はひどく、購入後それ程月を置いていないにも関わらず子供が遊びまくった事でエッジからがんがんメッキが落ちてしまい、一か月未満で返品もしくは回収された超人素体がかなりの数出たらしいという話です。素体は回収したが、別に壊れているとかいうわけでもないし、本体自体にもリベットじめした上からプラで封をしたり、ビス止めで分解できなくなっている太ももの部分も結構コストがかかっているわけです。で、その太ももが半透明になっているのを逆手に取って、ネジ止めだけで組み立てできる頭部や全身のメカ部分のみを新規に成型して、返品分の胴体&ふとももパーツを流用して組み上げたのがこの最終版の超人のようです。回収だけで損をしているので、余計コストのかかるメッキはかけられなかったでしょう。
 てっとり早く言えば返品&回収分の償却の為に考え出された限定素体というわけです。故に1ロット。

 実際頭部などが無垢のままなので、電子眼や胸部のクリアグリーンパーツが背面からも採光され明るく輝いて見えます。正直、かなりカッコイイです。

 
 こういう事書いてるとまた「嘘をつくな!」とか「カスタムだ!」とか言われそうなんですが、譲ってくれた北海道の方によれば「知人がフリマで入手したのを『おまえこういうの好きだろう』と譲り受け、しかし専門外だったので手放した」のだそうなので、かなりリアリティある話です(以前自分が1号●を入手し損ねた時も出てきたのはマニアが荒らしてない北海道だった)。また、本来超人頭部メカは全身と同色のスモーククリア成型色なので(まれに白も有)、カスタムなら当然同色のスモーク頭部を使うのが普通だと思われ、カスタムの可能性もほぼありません。足もきれいにしたいなら表だけメッキ落とせば済むし。




 瞬間移動超人・頭部メカ。 →

 かなりカッコいいわけなんですが・・・胴体メカは入手後一度もはずした事がないです。
 超人胸部のアンドロエンジンBを固定している金属バネ基部のプラはもろいので、割れやすいし・・・。

 全身がスモーククリアなのに、頭部と胸部が半透明の白成型である理由は、テストショットの雰囲気を生かしたかった可能性と、「1号・少年・ジャガー等」が頭部と胴体内のメカ2箇所のみのインパクトでカッコいいという経緯があるので、この超人もいわば「原点回帰」させてそういう印象にしてみた、という事が考えられます。
 個数的価値的には多分某掲示板で有無がいまだに問題にされてる●ワルダー(3ロットは確実に出ている)なんかよりはるかに少ない筈です。正直75年1月の「●ワル」よりもずっとレアな筈なんですがカスタム作ろうって奴もいるみたいで。なんだかね。

 ネオ1号等でも「ハイパーホビ−限定ステルスバージョン」があり、この白ムクの頭は印象近い気がしますが、実際この「メカ部分なのになぜか全部スモーククリアで売ってしまう」という発想は後のサムライトルーパーONAIR時発売されたサイボーグジャガーのリメイク品「白炎王」と同じ発想なわけで。逆に言えばこの素体が白炎の指標としてあった気がするのですが。

 「アンドロイドA・超人」は子供の時から好きだったのですが、子供の頃の自分は誕生日のクリスマスイブにAのノーマル版を買ってもらってたので、当時購入するのは断念しました。すごく格好はいいんだけども、Aの1900円に比べると、超人・ロボットの2500円という単価は割高で小1小2だと親におねだりしづらかったです。
 「パーツそろえればいいじゃん!」と言われると思うけど、当時は既にミクロマンはじまっていたし、パーツ分のお金でミクロマンが1体買えてしまう。アンドロイドAが不人気だったというのは完全にミクロマンの価格帯が「安すぎた」からで、アイテムのカッコよさから考えると明らかに不幸なフィギュアではある、と思います。

 その反動でサイボーグマニアを再開した時にもまず欲しかったのは「超人!超人!超人!」だったわけなんですが・・・

 一応「超人好き」としては、例のイギリス版アンドロイドが残っているわけなんですが、
 あれは知られてる素体でも最後の一個なんで、
 ルースでもいいから気に入ったのを買いたいなと思ってます。






 ◎「アンドロイドA・超人」- Android mark-A - (75年初旬・タカラ)

 ノーマルの超人です。プレビュー公開って事で・・・(と言ってもみんな知ってるだろうから解説いらないだろうか?)
 変身サイボーグ1号の「ワイドな遊び」の方向性は主に「変身セット」に代表されるTVヒーローごっこの側面と、片貝ファミリー設定に代表される「リアルSF玩具」としての2方向の方向性があるわけですが、変身ブーム自体が石油高騰化等で下火になり、1号自体も72年から74年まで2年のロングラン商品になってしまった事から、開発された新キャラクターがアンドロイドAシリーズです。当初は「エマージェンシー隊員」等の名前でデザインがされていたのですが(74年の少年チャンピオン(冒険王かも)等に掲載されてます)、現在知られているものに比べると宇宙人ともどもかなりグロテスクで、デザインも方向性を余儀なくされたと思われます。
 アンドロイドAは当初異常に細かいメカ設定のリーフレットのみで、可能性としてはサイボーグシリーズと切り離される事もありえたのですが、後宇宙人のパンフレットでは「宇宙人=ワルグロ星人によって、故郷を侵略され、2000年前(!)の地球に不時着して眠りについたプリズマ星人の青年(王子)」という設定になります。1号、少年、ジャガーによってウラデス台地から発掘され(裏は死?)、再改造されて1号たちと共に、宇宙人達と戦いました。
 頭部、胸部メカ、両腕、両足をテレポーテーションで一瞬にチェンジ!ノーマル形態の人間の姿から、高速電子人間の「超人」、メガトンパワーの「ロボット」に変身します。そのため1体を入手した子供が変身させて遊べるように、それぞれの「Mセット(頭・胸メカ)」「Hセット(両腕)」「Fセット(両脚)」も出ていました。それぞれには詳細な説明がついていて、買った子がネオノーチラスの研究者気分で自由にカスタマイズさせて遊ぶ事ができたわけです。気軽にアンドロイドのメカニックマン気分を味わえる、というのが、Aシリーズの醍醐味だと思います。

 サイボーグ的には後期に属し、GIジョー等1/6フィギュアのファンからは異端として見なされるAですが、実際的には後の多くのクリエーターに影響を与えているようです。当時での「ザ・ウルトラマン」(内山まもる氏)に登場した「メロス」というウルトラマンが黒人的な顔なのはAのノーマルから派生していると考えられ(ビューナスAもありましたが)、「メタルダー」も「キカイダー」というよりはこの超人に近いデザインです(第2次大戦時開発されたという設定だが、当時はヤマトブームであり、変身は「瞬転」で、開発者は古賀博士(「貝」の字がつく))。「ナデ*ア」のネオ皇帝も、「ノーチラス」のネモの息子であり、黒人で既にアンドロイド化。両足にエンジンマウントの発想はFSSのミラージュマシン。また、「超人」の胴体部がミサイルサイロのエンジンで胸部開閉、足のエンジンが露出・・・という発想は∀と同一のものです(シドミード氏が過去イギリス版の「アンドロイド」を見た事があるかは不明)。
 今年のライダー、ファイズのアクセルフォームも胸部ハッチが開いてエンジン部が露出、という発想はこの「超人」と全く同一のものです。
 いわばアクセルファイズの完全なベースメント、と言えるのかも。

 この超人はサイボーグマニア復活した初期の頃、九州の方から箱入りで入手したものですが、実は九州の水害に遭った倉庫から出たもので(しかもそれで相当のデッドストックサイボーグが水浸しになったらしい)、箱はボロボロで朽ちかけ、頭部メッキ等にもかなり難ありの品なのですが・・・手放せないですねー・・・やっぱ最初に手に入れた憧れの「超人」なので。カッコいいし!

 超人はテストショットでは胴体部等がクリアです。それが超人系では究極アイテムと言えます。また、超人の箱には箱裏の一番上にアンドロイドAのノーマルの写真が使われているものと、超人の顔が使われているもの、側面の小さい穴が開いているもの開いていないものが存在します。結構、箱バージョン多し。興味の無い人にはどうでもいい事なんですが・・・





 



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