変身サイボーグ1号・超人セット・サイボーグセット
(ビートルマン更新)





◎超人セット・ビートルマン(タカラ72年)

 ビートルマンです。パーツ揃えるのに時間かかりました・・・
 明日からロンドンオリンピック!イギリスと言えばビートルズ!!って事で紹介なような、違うような(笑)

 変身サイボーグ1号のオリジナル変身形態の最レアアイテムです。地中・空中で自由に行動でき、超複眼であらゆるものを望遠可能!毒液の噴射で敵を倒す(また毒系!)そして、テレパシーで世界中の虫が味方になります。
 デザイン的にはなんていうかフランツカフカの「変身」でグレゴールザムザの変身を想起させ、仮面ライダーの影響も目の下のくまやコンバーターラングっぽい胸に見てはとれますが、ビートルマンは文字通り甲虫系のカブトムシやコガネムシ系の昆虫ヒーローなので、非常にマッシブです。造形に量感があるというか。
 ルレットを使ったような縫い目イメージはこのスーツにも使われています。
 胸の角は多分コーカサスオオカブトのイメージ。正面ビューはこんな感じ(画像)

 


   背面姿は左のような感じです。背中にもとげがあったり、表面の雰囲気がまさに昆虫って感じですごいですが。
 後頭部にこういうじゃばら状の意匠を持ってきてるのは、後のスカイライダーより早いですね(ていうかそもそも73年の少年サイボーグにもスカイライダーXってスーツがあるわけだが。スカイライダーよりも仮面ライダーXよりも早い)。
 あとふくらはぎ部分の意匠が、実は後のRX-78ガンダムに非常に似てます。こういうふくらはぎのロボットって当時以前にいたっけか?ちょっと興味ある所。
 スーツ的にはインナーの色や手首足首の色が異なるバージョンがあるらしいです。あと初期のカタログの超人セットはベルトのデザインが違っています。
 
 能力解説は上で適当にやってますが、詳細は当時のブリスター台紙に書かれているわけで、なんか持ってないとアバウトにしか書けないのが残念。やっぱり台紙は欲しいかも。うん。
 ちなみに、バードマンとフィッシュマンは手袋の造形が左右同じなんですが、ビートルマンだけは手袋造形が左右で違います。注意。

 ビートルマン・・・大人になって再度サイボーグを集めなおしてから、オリジナルヒーロー系では結構欲しかったんですが、のんびりしてたら今までかかっちゃいましたね。時間かかり過ぎ!!

   実はシャインXも手に入ったので、超人セットとNEW超人セットは両方コンプした感じ。結構嬉しいです。とりあえずですがご紹介です。
 (シリアル#7552→113103)







◎超人セット・フィッシュマン(タカラ72年)

 これも1号の超人セット。水中で高速活動し、世界中の魚が味方になるヒーローです。魚眼はあらゆる方向の物が見え、テトロ毒で相手を溶かす! デザインぶっとんでます。

 初期変身セットは既存ヒーローでは無く過去のモンスター映画や小説の類から設定モチーフを取っています。ビートルマンはおそらくカフカの「変身」であり、フィッシュマンはあまりにも有名な「大アマゾンの半魚人」という映画(1954ユニバーサル映画)のモンスター「ギルマン」をモチーフとしたと思われます。ギルマン関係のフィギュアアイテムについては、イラストレーター韮沢靖氏のHP「ToyTribe」の特集(24&25)が非常に詳しいのでおすすめです。

 超人セットがこういうデザインになったのは変身ブームの真っ只中での、一種原点回帰的姿勢があったのかもしれません。でもフィッシュマンの顔・・・ピラニアというか・・・ぶっちゃけゲスラ。どう見ても悪役ですが、実際イギリス版ワルダーの悪の変身スーツ「Subform」ではこのフィッシュマンがAMULUKという名でラインナップされています。

 フィッシュマンが半魚人で、ビートルマンがザムザの変身する虫なら、バードマンは何かって事ですが、ウチの母によると「カラス天狗みたい」との事で、意外にそれが正解かもしれません。何で天狗でヒーロー発想かというと「鞍馬天狗」があるかららしい。スタッフの方々も同じかもしれないです。

 こう書くと半ば投げやりっぽい作り方がされてるように思われがちな「超人セット」ですが実はそうではなく、例えば胸のプロテクターには縫い目のような点線がモールドされています。これはどうもお裁縫の時につかうルレット(ルーレット?先にぎざぎざのついた車輪のある、あれ)状のものでロウ原型につけられたもののように思われるのですが・・・非常にリアルです。TV展開されないヒーローをここまで実物特撮スーツらしくリアルに造型する熱意には驚きを禁じ得ません。ソフビそのものもかなり型抜きが難しい形状をしていて、かつ表面処理が美しいです。

 1号超人セットとワルダー怪人セットは、ソフビ怪獣方面に未参入だったタカラが変身サイボーグのヒーロースーツを展開させる上で、各ヒーロー特撮製作会社に自社の玩具製作技術をプロモーションする為の好例になったようにも思えます。この超人セット以後、多くのヒーローの変身セットが更に数多く作られる事になリます。もしかするとサイボーグシリーズはTV展開も望まれていたのかもしれませんが。

 80年代変身スーツマニアにはパチだなんだと言われた超人セットですが(笑)、プレミア価格的にはそこらの変身セットよりも高いです。現状ではビートルマン・バードマン・フィッシュマンの順に高額ですが、それは人気と希少性に順じ過去からその位置関係は変わってません。当時価格は各600円でした。ビートルマンは自分もまだ持ってません。
 写真はEX-EE+GOLD200。意外に撮れます。・・・サイボーグセットはまた後ほど。(シリアル#7551→113102)  











◎超人セット・バードマン(タカラ72年)

 タカラオリジナルの変身サイボーグ用コスチュームです。オリジナルヒーローなので、TV番組等には登場しません。

 サイボーグ1号シリーズは、元々タカラ正義の味方の廉価版的発想で始まったのですが、発売開始時のアイテムはシルバー〜グレーまでの3素体と腕につける武器、サイボーグセットだけでした。ワルダー発売はまだ後のことです。知人によれば武器つきのDXは、ほぼ新発売即日カンパケ状態だったらしいのですが、SF路線的にはまだ弱く、どちらかというとヒーローというよりは、スパイテイスト的な雰囲気でした(007やスパイ大作戦、600万ドルの男のような)。
 この超人セットが発売されて始めて、サイボーグ1号は変身素体としてのシリーズとオリジナルSFシリーズを分岐させたともいえます。バードマン・フィッシュマン・ビートルマンの3種がラインナップされました。

 資料的にはワルダーは10月予定、超人セットは72年11月の販売予定になっているのですが、発売の遅れもあったようなので事実上の販売開始時期は微妙です。ただ共に2期パンフには掲載されているので、0期&1期カタログはほんの短期にしか混入されなかったって事にはなります。


 「バードマン」は空中機動型の変身スタイルで、マッハ5で宇宙を飛び、テレパシーで世界中の鳥を味方として自由に操れ、手足の爪は鋼鉄も引き裂けます。

 胸にはスペードマークがありますが、トランプのスペードをモチーフにしたヒーローはバードマン以前には無いかもしれません(不明)。顔は変身忍者嵐みたいで、パチテイストも全開ですが、試行錯誤と言った雰囲気もあります。超人セットはどれも実験的デザインで、ダイナミックな野性味全開です。後にバードマンという呼称は「パーマン」の「スーパーマン」の代名にも使われてますが、サイボーグ好きは「バードマンって1号の変身スーツだよなぁ」と思ったりもしましたよね?(笑)

 1号初期超人セットはどれもスーツが単色なのですが、各色のスーツに着替えさせる事で雰囲気が変わったりして楽しいです。例えば99スペクトルマン用の金色スーツを着せると金色のバードマンが楽しめたりします。各ヒーローに超人セットの手足やプロテクターをつけてもカスタムヒーローっぽくて楽しい。「遊びがワイド」の所以です。手足首のソフビはスーツを着た上から着せるように大きさ設定されてるので、素体にそのまま装着しようとするとブカブカなので注意です。個人的には口の赤い部分は赤外線ゴーグルのようなものか?とも思ってるので、復刻される時にはクリアレッド成型色で口だけ塗り残しとか、そういう風に区別化すると楽しいかもと思います。 (シリアル#7550→113101)






おまけ♪


HYPER OMEGA CROSS Ver.0.5/1998 4月NECTAFUL より。

当時は漫画描こうにも紙資料しか無くなっちゃってたっけ・・・





◎NEW超人セット・アポロイドZ(タカラ74年)

 1号の新しいオリジナル変身スーツです。片貝ファミリーの設定になってからは初の超人セットという事になります。このアポロイドに加え、ロックバロンSとシャインXの3体が、サイボーグジャガー発売の74年春に、ほぼ同時発売されました。少年のNEW変身セットも同時発売されています。

 スーツの特徴は、過去のビニール製スーツに変わって、胴体部でスーツを上下2ピース分割する樹脂スーツ(というかゴム?)が採用されている事です。首は左右にスイング可動のみ、手首と足首は抜けもしない、完全に肩口か腰から着せるだけという、宇宙服的イメージです。その分各ディテールは非常にリアルになっていて、肌にあたる部分、肩や腹部の筋肉や質感等はたまらないものがあります。アポロイドの場合、アメリカンコミック調のデザインが導入されています。カラーがえんじ色(赤茶?)系なのも、当時としては渋いです。赤茶系ヒーローには当時はサナギマンがいます。アニメではえんじ色がフィーチャーされたのは、この5年後のシャアザクが初めてです。
 
 定番のルレット?による擬似縫い目加工も絶品です。が、難点は、スーツが軟質ソフビ製のため、素体に癒着して着せ替えが非常に(とてつもなく)しづらい点です。実は写真のスーツもそのまま立たせているだけで、中身は空っぽです。これも定石通り、ベビーパウダーを素体かスーツ内につけて(当時は出荷時からもともとパウダーがつけてあるのですが、着せ替えている内にどんどんパウダーが落ちていってしまう)ドライヤー等で伸ばしつつやるしか無いと思います。
 それでもズボンに腰を突っ込むのは大変だし、多分着せた後で手首や足首を抜こうとしても、抜けなくなってしまう可能性が多分にあります。発売当時の1号素体なら大丈夫だったのかもしれないのですが、今ではプラ劣化進んでる筈だし、復刻品は1号の重量自体が違う位「軽密度」のプラが使われているので(溶ける理由だと思われる)、やっぱり危険かもしれません。
 アンドロイドAの上体だけでも着せようかと思ったんですが、腹部のスイッチがつかえて、腰が絶対納まらないんですよね・・・(−−);

 それでもカッコいい事は間違いないです。設定的には「宇宙で太陽エネルギーを吸収しながら行動・・・光速の3倍で10万馬力(!!)」となります。光速の3倍ですよ??シャアザクなんて問題にもなりません; それなのにパワーはアトムと同じどころか、初期クロスレインボー設定の1号素体より1/10にパワーダウンしてたりするのが謎ですが(クロスレインボー設定時の最大パワーは100万馬力)・・・ 殆ど時間すら超越していると思われる、サイボーグ1号の超ヒーロー形態です。

(シリアル113113)
 


◎ NEW超人セット・ロックバロンS(タカラ74年)

 久しぶりのこのページの更新。1号の空中戦NEW超人形態です。
 酸素をエネルギーにマッハ20で行動!!反重力シューズや超熱戦ビームなどの武器を搭載しています。一見海底用かと思いきや、空戦用の形態です。それは頭部ヘルメットのデザインに一番如実に表れているんですが・・・要するにグラマン系などの戦闘機のコクピットを模したヘッドなんだよね。グラマラスです。洒落じゃん(笑)。
 スタイルはどちらかというと円谷ヒーロー的ですが、更にSF的なデザインで・・・テレビに出して他のヒーローと比べても全く見劣りしない、むしろ優れているだろう、ってデザインです。
 名称的にはレッドバロンだのマッハバロンなどの特撮ロボットヒーローがこの頃流行っていたから・・・って感じですが、なんで「ロック」なのかというと「ミサイルをLOCKオンして敵を撃つ」からロックなんだろうなぁ・・・と思ったりしています。  (いや、マッハバロンの主題歌がグラムロックだったからでは?と言われるかもしんないけど・・・まーそれは置いといて)
 ちなみに、着せると1号素体に負荷がかかるので中身は空で写真を撮ってます。
 肩と内部頭脳に銀塗装がされているロックバロンも自分は某店で見かけた事があるんですが、購入者によるリペイントか?とか思ってしまって、まだ手を出していません。他にも持ってるって人がいれば、信憑性あるので買おうかなと思っていますが。もう売れちゃったかな;

 超人セットは、上のアポロイド項でも書きましたが、架空の特撮ヒーローのプロップ試作とでも言うべき完成度を誇ります。このロックバロンの場合は、スーツ頭部が二重構造になっています。1号の電子頭脳にかぶせると3重構造になるわけですが・・・。これ以前の二重構造ヘルメットを持つ1号アイテムはキカイダー01とサイボーグライダーオートバイセットですが、このロックバロンのヘッドは最もエキセントリックなカッコ良さです。非人間的と言ってもいい。
 肩には中性子ミサイルなどまで装備しています。はっきり言って、サイボーグライダー発売以後のサイボーグシリーズの武器内容はかなり破壊力的にインフレを起こしていて、仮にテレビ番組にするとしたらまともに放送できないだろ!という内容になってしまっています。それ故に購入した子供の両親の神経を逆撫でした部分はあると思います。
 実は自分がサイボーグライダー系の武器セットを紹介しないのも、ちょっとその破壊性に子供の頃の僕がアレルギーを感じてしまっていたからでもあるんですが。レーザーはまだいいんだけど、中性子ミサイルとかはね・・・いいの?って思っちゃうじゃん。

 NEW超人セットは、ロックバロンの空、シャインXの海、アポロイドZの宇宙で、空陸海ならぬ空海宙のスタイルなのですが、これは地上・地中戦を担当するサイボーグジャガーとの戦略的な兼ね合いによります。
 そして、それまでのサイボーグシリーズは生物的バイオサイバネティックス的なのに、とてもメカニカルになっていく。敵のワルダーとの対比の為なのは明確だけど、兵器が正当であるかどうか?というのは子供が玩具に見出すイメージとしては重いです。
 仮にそこに正当性があるとすれば、「当時の冷戦下で対立を続ける各国が核兵器を持つ位なら、地球全体の平和を守ろうとしているサイボーグが持っている方がましじゃん!!だってサイボーグは正義だし」というような感じなんだろうけど。当然これは現実では絶対に通用しない理屈です。でも変身サイボーグは「宇宙の正義を守る為」に存在しているわけだから・・・そこを信じるしかないんだよね、この玩具シリーズのドラマツルギーでは。

 サイボーグ1号の戦闘用強化アイテムは実質これらのNEW超人セットが最後になるわけで、完成点とも言える位すごいと思います。ただ子供が親抜きに楽しむには発想が過激かもしれない、というのも事実です。そしてそういう玩具・・・というより漫画やアニメに出てくる兵器の破壊性について、子供の認識を親がどう間違わないように教育していくか?っていう事も、実は70年代から重いテーマだったんじゃないかという気がします。
(シリアル113111)
 

次はここから更新しまーす。
(2011_1/5)


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